旅も楽しむSL撮影
<案内人>
ベルボン株式会社 営業部 M氏
写真歴は20年ながらフィルムカメラ経験はないといういわゆる完全デジタル世代。RAW現像なども嗜んでいる。
ベルボン株式会社 営業部 M氏
写真歴は20年ながらフィルムカメラ経験はないといういわゆる完全デジタル世代。RAW現像なども嗜んでいる。
SL撮影は初めての方にもオススメ!
「鉄道写真」という撮影ジャンルを知っている方は多いと思いますが普段撮っていない人からするとどう楽しめば良いのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。一見するとハードルが高そうに見えますが、初めての鉄道写真にオススメなのはSL、つまり蒸気機関車の撮影が適しています。
見どころとなる場所=撮影地では比較的低速で走行するのでシビアな撮影条件でなくても撮影できるのが魅力です。 いつどこでSLが走っているかは鉄道専門誌や各鉄道会社公式サイトなどで調べることで確認できます。関東圏では
JR上越線「SLぐんまみなかみ」信越線「SLぐんまよこかわ」
秩父鉄道「パレオエクスプレス」
東武鉄道「大樹」などがあります。
撮影には望遠レンズを用意しよう
最近ではスマートフォンで撮影する人も増えていますが、鉄道写真では撮影場所から被写体までの距離が遠い場面が多々あります。スマートフォンの望遠機能は画質劣化やシャッタースピードも自由に設定が出来ない為、鉄道撮影ではレンズ交換型カメラが適しています。
レンズの焦点距離は200~300mm相当があれば十分に対応することが可能。望遠レンズは比較的大きく重いものが多いですが、初めてであれば安価でコンパクトな望遠レンズから始めてみましょう。
少ないシャッターチャンスをものにしよう!
観光列車のSLは一日に復路合わせて数回程度の運行。移動などを考えるとチャンスはもっと減ってきてしまいます。「少ないシャッターチャンスの中で少しでも多くの撮影を行いたい!」というカメラマンにおすすめなのが「スーパーマグプレートII」です。 上り坂では大きな煙が上がりやすい、画面の上側に大きく煙を入れるか車両の顔をしっかり撮るか悩みどころ。スーパーマグプレートIIを使う事で両方のカットを一度に撮影出来た。 このようにスーパーマグプレートIIは非常に便利ですが、1台の三脚に複数台分の負荷がかかるため注意が必要です。今回の撮影では大口径レンズを取り付けた一眼レフ二台を取り付けており、三脚全体にかかる荷重もかなり多くなってしまった。三脚は剛性に優れた「Professional Geo N730」とハンドル雲台「PH-275」を使用。撮影編
三脚をセッティングしたら後はSLが来るまでのんびり…というわけにはいきません。目当ての車両が通るまでは撮影設定を練る重要な時間。露出やシャッタータイミングなど入念に確認しておきます。 ここでは走行中の列車を画面からはみ出さずに撮影する「編成写真」に挑戦。電車の走る電化区間では架線柱の処理が見栄えを左右するので構図やシャッタータイミングが重要になる。下の2枚は一見すると上手く撮れているように見えるが、赤丸で囲んだ架線柱が車両の顔付近にきてしまった。
構図や露出、架線柱に注意して撮影した写真がこちらです。なかなか綺麗に撮れたのではないでしょうか。心に余裕を持ちつつ旅も楽しみたい
SLが走っている区間は観光地としても有名な場所が多く撮影以外にも楽しめるスポットも多くあります。撮影合間にその土地ならではの食べ物や観光スポットを押さえておけば撮影行の満足度も大きく上がります。
最後の撮影では鉄橋を渡るSLを夕景で狙おうと大谷川の鉄橋へ。目星をつけておいた場所は堤防の上のだったが現地に着いてみると、鉄橋の構造物で車両の大半が見えない状態だった為、三脚を最大まで伸ばして撮影した。「Professional Geo N730」と雲台「PH-275」の組み合わせでは最大190㎝程までの高さでカメラを固定できる。カメラの操作も格段に楽になるので荷物に余裕があれば脚立を用意しておくと便利。
脚立まで用意していたもののプレートガーダー橋が思った以上に高くSLが大きく隠れてしまった。地図アプリ中心に調べていた為、橋の構造を想定していなかった…最後の最後で悔いの残る結果となってしまいましたが、初めての場所での撮影にしては上々の結果だったのではないでしょうか。どの撮影にも言える事ですが天候や現場の状況によって撮れる写真の内容は変わり、一朝一夕ではなかなか良い絵にはなりません。近々また撮影に来たいと思います。