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トップ > 【撮影講座特集】野鳥写真家 中村利和氏プレゼンツ 押さえておきたい野鳥撮影!
望遠レンズがあるなら押さえておきたい野鳥撮影

<案内人>
野鳥写真家 中村利和(なかむら としかず)
神奈川県生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、アシスタントを経てフリーランスのフォトグラファーとして活動。高校生の頃、友人の影響で観察を始めて以来、身近な野鳥を中心にその自然な表情、仕草を記録。「光」にこだわり、「光」が感じられる写真を心掛けている。

2017年、青菁社より写真集「BIRD CALL」出版
日本野鳥の会会員日本自然科学写真協会(SSP)会員
公式HP【BIRD CALL】

野鳥撮影の魅力とは?

最近は手軽に撮影できる被写体として野鳥を撮影する人が増えています。

野鳥撮影の魅力とはなんでしょう。野鳥は私たちの暮らしの一番身近に生きる野生生物です。山や海、都会の公園など、様々な場所で様々な野鳥たちに会うことができます。

都市公園でもちょっと気にしてみるとスズメやカラスだけではなく、シジュウカラやメジロ、カルガモなどたくさんの鳥たちに出会うことができます。

身近な公園など特別な場所に行かなくとも様々な野鳥に出会うことができる。
上のような場所でも少し気にしてみると鳥の鳴き声が多く聞こえる。

春になるとやってくるツバメや冬に渡ってくるカモなど、季節を感じられる身近な存在が野鳥たちなのです。デジタルカメラが普及し、性能もより良くなった今、野鳥撮影も手軽に楽しめる写真のジャンルになっています。

キビタキ,500mm,F6.3,1/200秒,ISO1600
今年生まれた幼鳥

野鳥撮影に最適なカメラは様々。レンズは500~600mmが標準画角

様々なデジタルカメラやレンズが登場していますが、野鳥を撮るならこれ!という最高のカメラはありません。

どの機種もそれぞれ一長一短があり、連写の速度を求める人、画質が最優先の人、持ち歩くため軽い機材が必要な人など、カメラに求めるものも人それぞれです。

一眼レフ、ミラーレス一眼、そしてコンパクトカメラなど、どのタイプのカメラでも野鳥を撮影することは出来ますが、野生の鳥は小さく、思い通りに近づけないことが多いので、どうしてもレンズは望遠レンズが必要になります。

野鳥撮影では500mmや600mmの焦点距離のレンズが標準レンズとも言われているのです。

<写真左>アオゲラ, 560mm,F8,1/80秒,ISO2500
<写真右>野鳥撮影では長望遠が必須。レンズ交換式カメラの場合はレンズが大きく重くなる為、しっかりした三脚で支える必要があります。

野鳥撮影には双眼鏡があると便利

撮影の機材の他に、野鳥撮影で必要なものに双眼鏡があります。

最近の野鳥を撮影するカメラマンは双眼鏡を持たない人も多いのですが、野鳥の撮影では目的の鳥の生態を知り、行動をしっかり観察しすることが良い写真を撮る秘訣。

双眼鏡は目的の鳥を探したり行動を観察するのにとても役に立つ必須のアイテムなのです。

倍率は8倍~10倍くらいが使いやすいでしょう。フィールドで出会った鳥の識別や、その鳥の生態等を調べるのに野鳥図鑑も一冊準備しておくことをお勧めします。

中村先生が愛用している双眼鏡は スワロフスキー
「高校時代から20年以上使っていた双眼鏡がだいぶガタがきてしまったので、忙しく仕事をしている自分へのご褒美に、思いきってスワロフスキーの双眼鏡を購入しました。カメラと同時に持ち歩くので、あまり重くないものを、そしてずっと10倍を使っていたので10×32を選択、この明るくシャープな見え味はもう手放せません。」

野鳥撮影を快適に支える三脚をご紹介

今回は超望遠撮影の入門のレンズとして定番となっている150-600mmのズームレンズにAPS-C一眼レフで撮影、

そして三脚はベルボンバーダーズプロ638を持って森へ出かけました。

このカメラとレンズの組み合わせでは35mm換算240mm~960mmのズームとなり、野鳥撮影には十分な焦点距離になります。

三脚はその名の通り、今回使用している150-600mmクラスの超望遠ズームレンズに合わせて設計された、まさに野鳥写真を撮影するために作られた三脚です。

「バーダーズプロ638」
脚素材は28mm径のカーボン製、ボディは新設計の軽量で強度の優れるマグネシウム製ワンピースボディを採用。
今回の撮影ではCanon EOS 60DとTAMRON 150-600mmを使用した。
150-600mmクラスを想定した三脚だけに機材とのバランスが優れベストマッチだ。

三脚の脚材は28mmのカーボンファイバーで軽量かつ剛性を高め、センター棒を取り外すことで、ローポジションの撮影に対応しているのも嬉しい設計になっています。

センター棒下部を取り外すことでローポジションに対応。最低高は「280mm」

雲台はオイルフリュード雲台で、滑らかな動きを実現し動く鳥も追いやすく、パン(水平方向)とティルト(上下方向)を固定するストッパーは同軸に配置されているので、少ない手の動きでスムーズに操作できます。

雲台「FHD-66A」はマイナス20度にも対応するオイルフリュード雲台。
大きくつかみやすいパン・ティルトストッパーが側面同軸に配置されていることで操作性が高まっている。
また上下左右に定速で滑らかな動きを実現しつつ、超望遠レンズを強力に固定することができる。
重量級の機材を乗せたときにカメラが前に傾く力を打ち消す「カウンターバランス機構」が搭載されている。
この機構の有無でティルト時の負荷が軽減され撮影時の快適性が大きく変わる。

いざフィールドへ!
ただ野鳥撮影は「待ち」の姿勢が重要?

撮影に行った8月初旬の森では、子育ても終わった鳥たちはひっそりと生活し、葉も青々と繁り鳥たちの姿もなかなか見つけることができません。

森は虫たちの鳴き声で溢れ、春先に聞かれる賑やかなさえずりもほとんど聞こえてきません。 森の小鳥たちを見るには少し遅すぎたようです。

そんな状況の中、8月でも鳥が見られるであろう鳥たちが集まる水場で、水浴びや水を飲みに来る鳥たちを静かに待つことにしました。

木々が生い茂る夏は野鳥撮影には難しい季節。森の中で鳥たちの声を聞き水場近くでカメラを構える。

木の影に身を隠しながら、鳥たちが警戒しない距離で静かに座って待っていると、ヤマガラやシジュウカラ、キビタキなど色々な鳥たちが水場に飛来しました。

鳥たちを驚かさないように、動作は出来るだけゆっくり、大きな音は出さないように注意します。

鳥は大きな動きや素早い動き、大きな音を嫌うので、鳥が来たからと焦って素早くレンズを向けることはせず、落ち着いてゆっくり操作しましょう。

ポイントで狙いを定めて鳥が飛来するのを待つことが重要だ。

観察をしっかりすることが大事と書きましたが鳥がどのように水場まで来るか、水場に降りる前にとまる枝はあるか、水浴びの後はどの枝にとまるかなどを把握しておく事が大切。

事前の観察である程度わかっていれば、狙ってシャッターを切るタイミングも掴みやすくなります。

鳥を闇雲に追いかけるのではなく、観察をもとに動きを予想することで必要以上に警戒させずに自然な姿を撮影することができます。

今回撮影された鳥たち

シジュウカラ,600mm,F6.3,1/125秒,ISO1600,
まだまだあどけなさの残る、今年生まれのシジュウカラの幼鳥
ヤマガラ,600mm,F6.3,1/160秒,ISO1600
この水場で一番多いのがこのヤマガラ、しっかり水浴びした後は羽毛の手入れです。
左-キビタキ,右-メジロ,560mm,F8,1/200秒,ISO2500
キビタキとメジロが鉢合わせ、キビタキの勢いにメジロは先を譲ったようです。

野鳥撮影の上級者アイテム!?「カモフラージュテント」のご紹介

野鳥撮影を続けていくとこれまで足を運んだ公園やメジャーなスポットではなく、人気の少ないポイントへ赴くことがあります。

しかしそこでは野鳥の警戒心が強くなかなか姿を見せてくれない、という場面が出てきます。そういった時の心強いアイテムが「カモフラージュテント」です。

収納ケースから出すだけで簡単に設置することができる。
またメッシュ生地の為、夏場の撮影でも暑くなりすぎない。
一人用ではあるが内部は十分広く、撮影に集中することできる。

最後に

野鳥撮影をこれから始めるには、秋から冬にかけてとてもいいシーズンです。

街中の公園にはカモたちに代表される冬鳥が渡って来たり、木の葉が落ち鳥を見つけやすくなったりします。できれば近所で頻繁に通える場所を見つけ、何度も通うようにしましょう。

何度も通うことで季節の移り変わりを肌で感じることができたり、今まで見られなかった鳥に出会えたり、鳥たちの行動範囲や動きがわかるようになったりと撮影にもプラスになることがたくさんあります。

一方で野鳥を撮影する人が増えてくると、色々なトラブルも増えてきます。

立ち入り禁止の場所や私有地に入り込んで撮影する人、カメラマンが大勢おしかけて通路をふさぐなど一般の人の迷惑になるケース。営巣する鳥の巣の前で長時間居座り繁殖を放棄させるなど、鳥たちに影響が出るケースなど例を挙げるとキリがありません。

鳥たちに過度のプレッシャーを与えず、周りの人に迷惑にならないようマナーを守り、気持ちよく野鳥撮影を楽しみましょう。

今回登場したベルボン製品

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