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Velbon
トップ > 今年こそ上手に撮りたい人のための「花火撮影講座」
美しき「福田式花火」の紹介
三脚を使って撮影。
Sony α7RⅡ、ISO100、F3.5、1秒、三脚使用 新潟県 片貝まつり

<案内人>
花火写真家 金武 武(かねたけ たけし) 1963年神奈川県横浜市生まれ。写真の技術を独学で学び30歳で写真家として独立。打上げ花火を独自の手法で撮り続けている。 写真展、イベント、雑誌等、メディアでの発表を続け、花火の解説や講演会、花火撮影ツアーの依頼が増えている。 2016年には花火打上従事者の資格を取得。博報堂Webサイト「ONESTORY」でコラムを連載中。 著書に「眺望絶佳の打ち上げ花火」(玄光社刊)、「デジタルカメラ超・花火撮影術 プロに学ぶ作例・機材・テクニック」(アストロアーツ刊)。DVDに「デジタルカメラ 花火撮影術」。

現在、「福田式花火」「アート花火」などで検索すれば撮影方法や類似の写真を見る事が出来ます。 なぜ、この撮り方が「福田式(ふくだしき)」と呼ばれるようになったのでしょうか。

なぜ福田式花火と呼ばれるのか?

私は福田武(ふくだたけし)という名前でした。 2009年に結婚し改名、金武武(かねたけたけし)になりました。

数十年前、この写真が撮れた時期、カメラ雑誌で特集を組んでくれたり新聞やテレビで紹介されたり 各地の写真教室に呼ばれて撮影テクニックを解説したりと活動の場が広がっていき、後にこの撮り方で撮った花火の写真を発表する人達が増えてきました。

しかし、皆さんが発表されている写真を見ると露出オーバーで花火の色が再現出来ていなかったり、 ブレていたり、ピントが合っていなかったりと私が追及している写真とは違っていました。

失敗例。露出オーバーになっており、ピントが合っていない。

その後もこの手法の解説を細かく話すようにしましたが「そんなこと言われても意味が解らない」「できない」「はいはい、福田さんのやり方はこうなんでしょ」などと言われるようになり, やがて「あれは福田式だね」と呼ばれるようになりました。

Sony α9、ISO100、F3.5、1秒、三脚使用 新潟県 片貝まつり

更に10年が経ち花火を撮り続け写真展を続けていたとき大先輩から「お前の花火の写真はもう終わったな」「福田式は古いな」と言われたことがありました。 私はまだこれからも多くの人達に知ってもらいたいと意気込んでいたのに大先輩にとっては見飽きた写真だったようです。

デジタルカメラとネットの時代が始まり今まで以上に多くの人達がこの手法で花火を撮っています。 嬉しい反面「なぜ、皆はこの写真を撮りたいのだろう」と不思議な気持ちになる事もあります。

福田式を表現する

花火の写真を美しく撮るためには花火の大きさ、種類、色彩、形状、打上の演出等々を知り どの撮り方が良いのかをイメージします。

特に福田式花火はどの花火でも撮れるものではなく、福田式に合った花火と最適な機材を選ぶことが必要です。 行き当たりばったりでは中々質の良い写真は撮れません。
Nikon D600、ISO100、F4、1.4秒、三脚使用 静岡県 ふくろい遠州の花火

花火写真家 金武武が福田式にかける想い

福田式について想うこと。

それは17歳の夏、満員電車のように大混雑の会場。暑く息苦しく決して快適な空間では無かった。

「ドン」という打上音、一瞬の沈黙、更に大きな「ズドン」という開花音。夜空一杯に花火が広がった。 振動で身体が揺れた。眩しく美しいその輝きが頭に焼き付いた。

花火はテレビで見て知ってはいたが本物は違っていた。その体験はショックだった。そこから花火を追いかける人生が始まった

どうやったら頭に焼き付いたイメージが写真で表現できるのか。花火の撮影方法が書かれた本を読んでも人に聞いても一般的な撮影方法しかわからない。 年月が経ち成人し就職した。しかし、何をしても花火の事、カメラの事ばかりを考えている。仕事が手につかない。半ばノイローゼ気味だった。

試行錯誤を繰り返しある手法で撮る事を思いついた。当時はフィルム。現像してみないと思い通りに撮れたのかは分からないが、 その手法で撮ってみたその瞬間はシャッターボタンを押しながら「撮れている!」と手応えを感じた。

機材はNikon FA、Tokina80-200㎜F2.8、フィルムはFUJIFILMベルビア、ベルボンの中型三脚 翌日、現像が上がったフィルムには長い間頭に焼き付いた花火が写っていた。その時、私の頭の中は解放された。

気が付けば10年の歳月が過ぎていた。

最後に...

私が美しいと感じる花火とはなんでしょう?
何重にも円を描き大きく丸く広がる姿。 空一面を覆い尽くし身体を震わす迫力。 何度も色を変化させながら消えていく儚さ。

本当に美しい花火に出会うと涙が溢れる事があります。 日本の花火は世界に誇れる芸術作品だと感じます。

花火を撮り続けて2020年で40年目を迎えます。
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