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トップ > 【撮影講座特集】星景写真家 北山輝泰氏プレゼンツ パノラマ星景写真に挑戦しよう!
プレジションレベラーを使って、はじめてのパノラマ星景写真に挑戦しよう!!

<案内人>
星景写真家 北山輝泰
1986年12月1日、東京生まれ。天文台で星空のインストラクターをしながら 天体写真と星景写真を撮り始める。
その後、星空の魅力を多くの人に伝えたいという想いから、 天体望遠鏡メーカー「株式会社ビクセン」に入社。 のちに星景写真家として独立。天文雑誌「星ナビ」のライターや 星景写真・タイムラプスの講師業を行いながら、 世界各地で星空と風景の撮影を行なっている。

初めまして。星景写真家の北山輝泰と申します。 私が撮影している星景写真とは、星空と地上風景を一緒に写した夜の風景写真のことを言い、基本はカメラと三脚を使って長時間露光をして撮影をします。 この特集記事では、星景写真の中でもパノラマ星景写真にスポットを当て、プレジションレベラーのご紹介から簡単なパノラマ星景写真の素材撮影方法、 及びフリーソフトを使った合成方法についてご紹介します。


パノラマ写真とは

パノラマ写真とは、複数枚撮影をした写真を繋げて、あたかも超広角レンズで撮影をしたような広がりのある風景を見せる手法のことを言います。 超広角レンズを使った撮影と違う点は、歪みがなく、肉眼で見渡したような自然な風景を表現できることです

パノラマ"星景"写真とは

パノラマ星景写真は、その名の通り、星景写真を複数枚撮影し、パノラマ合成したものを指します。

表現するものとして代表的なのが、アーチ状の天の川です。 もちろん、一枚では収まりきらない広がりのある地上風景と一緒に星を写すためにパノラマ合成を行うという考え方も間違いではありません。

撮影するのに必要な機材

カメラ
種類は問いませんが、使用するレンズの焦点距離は24mm~30mm程度(35mm判換算)が必要になります。 24mm以下の焦点距離は、広角特有の歪みが顕著で、合成作業の難易度が高くなるためおすすめできません。 また30mm以上のレンズですと、写る空の領域が少なくなってしまうため、これもあまりおすすめではありません。また、カメラのタイマー機能を使っても良いのですがケーブルレリーズもあれば良いでしょう。

三脚
10秒前後のシャッタースピードになる為、剛性の高いしっかりとした三脚を選びたい所。写真ではカーボン製の「Geo Carmegne N635III」の脚に自由雲台「QHD-G6Q」を取り付けて使用しています。

プレシジョンレベラー
プレジションレベラーは、三脚と雲台の間に取り付けて使用する、水平出しと横軸の回転機能を備えた機材で、今回最も重要なものになります。 軽量金属マグネシウムを採用したことで、強度、安定性、振動吸収性が非常に高く、動きも非常に滑らかなのが特徴です。 使用方法については後ほどご説明します。

L字ブラケット
カメラアングルは縦構図が基本となります。そのため、L字ブラケットの使用がおすすめです。(今回はBR-Qを使用しています。)

取り付け方法

三脚の雲台を外して、プレジションレベラーを取り付けます。

プレシジョンレベラーの上に雲台を取り付けます。

パノラマ撮影をしたい風景を探して、三脚を設置します。この時に、三脚がなるべく地面と平行になるように脚の長さを調整しましょう。

大まかな水平は
脚部の伸縮で調整すると便利です。

プレジションレベラーの下部台座のパンロックを緩めて、レベラーの水準器内の気泡が指示線上に来るように、本体を回転させロック。その後はコレットネジのティルトロックを緩め、気泡が円の中に入るように角度調整ダイヤルを回します。

プレシジョンレベラーの使い方は
こちらの動画でも紹介しています。

撮影方法

カメラ内の水準器を利用し、水平を取りながら構図を決めます。構図は何枚か試し撮りをしながら追い込んでいきましょう。

プレシジョンレベラーの上部台座のストッパーを緩め、回転させながらパノラマで写したい範囲が全て水平になっているかを、カメラの水準器で確認します。

・スタート地点を決め、カメラを回転させながら複数枚撮影をしていきます。ポイントは以下の通りです。

●上部台座の目盛を見ながら、15度~20度程度ずつ回転させながら撮影をします。この時、それぞれの画像が、20%~30%程度重っているようにするのが理想的です。。

●撮影枚数の目安は6枚~9枚程度ですが、あとでトリミングすることを想定して、自分の写したい範囲よりも多少余分に撮影をしましょう。 ※視差を補正するためにノーダルポイントを決めるのが理想的ですが、パノラマ星景写真は無限遠の星空がメインになるため、あまり気にする必要はありません。

●全てのカットに地上風景が写っていることを確認しましょう。

●星の日周運動の動きは、パノラマにした時に大変目立ってしまうため、なるべく感度を高く、シャッタースピードを短くして、星が点で写るようにしましょう。

・撮影した画像を再生し、上記のポイントが問題がないかを確認して終了です。

合成方法

今回はフリーソフトのパノラマ合成ソフトの「Hugin」を使用します。
※フリーソフトのダウンロード、使用についてはご自身の責任の元に実施して下さい。

「画像を登録」で、パノラマ合成をしたい写真を全て取り込みます。
「配置」で、画像同士の類似点(コントロールポイント)を自動選択させ、おおよそのパノラマイメージを確認します
この時、画像同士のコントロールポイントが見つからない場合は、手動で選択していきます。

「切り抜き」タブで、切り抜きたいエリアを選択し、「パノラマを作成」で書き出して完了になります。

こちらが完成した写真です。

パノラマ合成には専用のパノラマ合成ソフトが必要になります。 画像処理ソフトの中にはパノラマ合成の機能がついているものもありますが、 ここではHuginというフリーソフトを使って一般的な正距円筒図法のパノラマ合成をする方法をご紹介いたしました。
より詳しい作り方などは公式HPやチュートリアルをご覧ください。

理想的な天の川のアーチを撮るために

天の川のアーチは、北半球の北緯35度地点では、主にさそり座や射手座などがある天の川銀河の中心部分から、 夏の大三角形を通り、カシオペア座までの大変大きな領域のことを指します。 一枚で撮影しようとした場合、フィッシュアイレンズと呼ばれる対角魚眼レンズでもかなり窮屈な構図になってしまいます。 パノラマの技法を用いることで、ダイナミックかつ美しく天の川のアーチを表現することができますが、下記のポイントが大事になります。

●天の川が高く昇れば昇るほど不自然なアーチになるため、昇り始めから1時間以内に撮影するようにしましょう。

こちらは失敗例、天の川が昇りすぎています
上記が天の川を撮る時間帯の目安になります。

まとめ

今回ご紹介をしたプレジションレベラーは、パノラマ星景写真の撮影はもちろん、ビデオ雲台と組み合わせた動画撮影など、 幅広い用途で使用することができます。三脚に取り付けたままにしておけますので、通常の撮影にも煩わしさを感じることはないでしょう。 ぜひ一度、お手にとってご覧いただければと思います。 最後に、星景写真は夜の撮影になります。身の回りの安全を第一に、楽しく撮影をしてください!

今回登場したベルボン製品

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