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こんな写真が撮りたい!工場夜景撮影

<案内人>
夜景写真家 岩崎拓哉(いわさき たくや)
大阪府生まれ。法政大学経済学部卒。日本三大夜景の神戸・摩耶山、長崎・稲佐山の夜景に魅了され、2003年より夜景写真家として活動。これまでに国内外2,000ヶ所以上で撮影し、夜景情報サイトの運営や夜景撮影ツアー講師なども手掛ける。

著書に「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」など。 公式HP【感動夜景 -Night View Emotion-】

工場夜景撮影ではロケハンが重要

工場夜景はもはや全国的なブームとなっていますが、神奈川県川崎市は三重県四日市市と並んで「工場夜景の聖地」と称されており、カメラと三脚を持参して撮影を楽しむ人も増えています。

川崎臨海部には多くの埋め立て地があり、工場も石油化学系から鉄鋼まで種類が豊富で、一晩では周り切れないほど工場夜景スポットが点在します。そのため、できるだけ明るい時間帯から訪問して、ロケハンをすることで夜間の撮影がスムーズに進みます。

ロケハンでは、撮影予定のスポットを訪れて、撮影に必要な機材を検討したり、撮影時の構図をイメージします。過去に訪問したことがある工場夜景スポットであっても、年月が経つことで、新しいプラントができるなど景観の変化に気付くこともあります。

明るい時間に工場夜景撮影スポットを訪問すると、予め必要な機材が把握できたり、構図をイメージしやすい。なお、日中は大型車両の通行が多いので、安全面にも配慮したい。
夜に撮影する作品を頭の中でイメージして、三脚の高さや構図を調整する。明るいうちに立入できる場所などを確認しておくことで、トラブルの防止にも繋がる。
カメラボディはCANON EOS 6D Mark2がメイン機。三脚はカーボン素材を使用したジオカルマーニュシリーズを愛用している。

撮影機材は一般的な夜景撮影と大きな違いはありませんが、工場と離れた場所から撮影することが多いため、望遠ズームレンズを多用します。目安としてはフルサイズ換算で70-300mmや100-400mmぐらいの焦点距離がおすすめです。また、標準ズームレンズは24-70mmや24-105mmぐらいの焦点距離を目安にすると良いでしょう。

三脚については、工場夜景撮影は望遠レンズの使用頻度が多いことから、なるべく大型で安定感のある三脚を使うことが多いです。雲台は水平・垂直方向の細かい調整が必要なので、3wayタイプのものを好んで使います。

撮影時の設定は三脚にカメラを固定するため、長時間露光での撮影に適した「絞り優先」や「マニュアル露出」を使います。ISO感度は200をベースに、風が強い場所では400~800に合わせることが多いです。また、レンズ側の手ブレ補正スイッチは、誤作動を防ぐため、基本的にOFFにしています。

なお、全体を通して、見た目のイメージに近い作品を撮りたいため、HDRはほとんど使わず、ホワイトバランスも自然な色合いが出せる「蛍光灯色」に固定しています。

トワイライトタイムの撮影は開放感ある場所で

明るいうちにロケハンを済ませた後は、1ヶ所目の撮影ポイントを決めます。日没から20~30分後は「トワイライトタイム」と呼ばれる空に青みが残る時間帯で、街明かりとグラデーションのかかった空をきれいに撮影できます。工場夜景撮影においては、工場と距離が離れていて開放的な公園などを1ヶ所目に選ぶことが多いです。

今回は1ヶ所目の撮影ポイントを「東扇島東公園」にしましたが、ウッドデッキのある海沿いからは、素晴らしい眺めが見渡せるものの、海風が強いことが多いため、安定感のある三脚の持参がベストです。

夜景撮影は完全に空が暗くなる前から始まる。空が明るいうちは広角レンズで、空を大きく写し、暗くなってからは望遠レンズに切り替えて工場をアップで撮るのが定番。
トワイライトタイムの工場夜景
レンズ:TAMRON 17-35mm F/2.8-4 Di OSD(A037)、焦点距離:35mm、絞り:F11、シャッター速度:3.2秒、ISO感度:200

望遠レンズでの撮影時に海風が気になる場合は、ISO感度を高めてシャッター速度を短くするとブレが発生する確率が下がりますが、その場ではブレに気付かないことがあるので、同じ構図・設定でも何枚かシャッターを切っておくと安心です。

浮島町方面の製油所
レンズ:TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(A035)、焦点距離:100mm、絞り:F8、シャッター速度:4秒、ISO感度:640

展望室からの撮影は映り込み対策が必須

続いて、同じ東扇島にある「川崎マリエン」に移動します。 川崎の工場夜景スポットで唯一、室内から夜景を楽しめるのが特徴で、360度の視界が広がります。ただし、ガラス越しの撮影となり室内の明かりが写真に映り込んでしまうため、忍者レフや上着を使って、映り込み対策をする必要があります。

なお、展望室からの撮影は屋外と異なって、風の影響を受けることがないため、比較的コンパクトな三脚でもブレを気にせず撮影できます。ここではUTC-63IIを使用、脚長が短く立ててもスペースを取らず、移動時に荷物を減らしたい場合にも便利です。

忍者レフはカメラの手前(レンズ)に取り付けるため、液晶モニターを隠すことなく撮影できる。あたかも屋外で撮影するような感覚で、手軽に写り込み対策が出来るのが嬉しい。忍者レフはよしみカメラにて販売している。
映り込み対策をした夜景写真
レンズ:TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2(A032)、焦点距離:24mm、絞り:F9、シャッター速度:5秒、ISO感度:400
室内の明かりが映り込んだ夜景写真
レンズ:TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2(A032)、焦点距離:24mm、絞り:F9、シャッター速度:5秒、ISO感度:400
忍者レフのような専用機材が無くても、上着を代用して映り込み対策ができる。ただし、液晶モニターが隠れて見えなくなるので、撮影後は画像に映り込みが無いか確認しよう。

標準レンズで画面全体にプラントを写す

続いて、川崎臨海部で最も有名な千鳥町エリアに向かいます。千鳥町と言えば、線路が見える貨物ヤード付近が定番ですが、貨物ヤードから南向きに500mほど離れた場所にも化学工場(日本合成樹脂)があり、間近でプラントを見渡せます。工場との距離が近いため、標準ズームレンズでも工場をアップで写せます。

明るいうちにロケハンを済ませ、歩道と工場との距離が近いことを確認した。風も弱く、ブレを気にせず撮影できそうな絶好のロケーション。
レンズ:TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2(A032)、焦点距離:64mm、絞り:F10、シャッター速度:15秒、ISO感度:200

定番スポットではいつもと違うアングルで

続いて、同じ千鳥町の貨物ヤード前に移動します。ロケハン時に真新しいプラントを発見しましたが、夜に訪問すると、LEDの白い光が美しく、周囲の緑がかったプラントとの違いにギャップを感じます。

まずは線路の手前から撮影し、線路を大きく入れる構図と、真新しいプラントを強調する構図で撮影してみました。工場夜景は同じ焦点距離で撮影しても、切り取る位置によって全く別の写真に仕上がるのが面白いポイントです。

線路とプラント群を写す
レンズ:TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(A035)、焦点距離:100mm、絞り:F9、シャッター速度:6秒、ISO感度:400
真新しいプラントを写す
レンズ:TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(A035)、焦点距離:100mm、絞り:F9、シャッター速度:5秒、ISO感度:400

続いて、フェンスの手前からの撮影に挑みます。フェンスは高さが180cm近くあるため、大型三脚が活躍します。フェンスの手前の方が工場と距離が近いため、標準ズームレンズでも画面いっぱいに迫力ある工場を写せます。フェンスの高さに三脚が合うかどうかもロケハンの時点で確認しておくと、次回以降の撮影にも活かせるはずです。

フェンスの前からの撮影は大型三脚が便利。いつもと違うアングルで撮影が楽しめる。なお、安全のためにもフェンスの先にカメラやレンズが入らないよう気をつけたい。
フェンス越しにプラントを写す
レンズ:TAMRON SP 24-70mm F/2.8 Di VC USD G2(A032)、焦点距離: 42mm、絞り:F9、シャッター速度:10秒、ISO感度:200

望遠レンズで工場の一部を切り抜く

最後は千鳥町の西側にある「水江運河前」に移動します。 水江町からは製油所のプラントが見えづらいため、運河前から斜め方向に製油所を撮影します。手前に草木が生えているため、視界がやや狭くなりますが、望遠レンズがあれば、さほど気になりません。

煙突など全体を写す場合は、焦点距離は100mm前後。プラントを大きく写す場合は200mm前後の焦点距離が目安となります。

三脚はGeo Carmagne N645Ⅲを使用しています。中望遠での長秒シャッターでも撮影でき携行性にも優れたカーボン製三脚です。

フェンスの手前の方が工場に近く、見晴らしが良さそうに見えるが、歩道よりわずかに低く、手前の船が写り込みやすいので、後ろの歩道から撮影した。
タイトル:望遠レンズでプラントを写す
レンズ:TAMRON 100-400mm F/4.5-6.3 Di VC USD(A035)、焦点距離:188.0mm、絞り:F9、シャッター速度:6秒、ISO感度:400

最後に

工場夜景の撮影は、年間を通じて楽しめますが、特に秋~冬はおすすめのシーズンです。 空気が澄んでいるだけでなく、日没が早いため、撮影に多くの時間を掛けることができます。

工場夜景スポットは車での移動がメインとなりますが、撮影スポットによって最適な機材が異なるため、複数の三脚を積み込めば、大きさや使用するレンズ等によって使い分けることができます。

また、川崎臨海部など都心に近い工業地帯は路線バスでアクセスできる場所もあるので、公共交通機関での移動はコンパクトな三脚を使うなど、移動方法によっても三脚を選ぶのも良いでしょう。

なお、その他のエリアの工場夜景スポット情報は工場夜景ガイドでも公開しているので、川崎のマニアックな工場夜景スポットや、他の工場夜景都市に興味がある方は是非参考にしてみてください。

工場夜景はなんとなく敷居の高いイメージがありますが、ロケハンを十分に行い、安全面やマナーなどに配慮すれば、初心者でもさほど難しくありません。皆さんも近未来感ある非日常空間での撮影を楽しんでみてください。

今回登場したベルボン製品

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